日本歯科理工学会誌
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総説
レジン修復窩洞内で生じる諸問題の解決に向けて
田上 順次
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2023 年 42 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

20世紀後期に我が国においてはじめて実用化された接着性レジン修復は,広く歯科臨床に普及し,新たな臨床活用法も提案されている.特に,歯質とレジンとの接着界面の封鎖性向上のための多くの研究が行われてきた.象牙質に対する接着性の向上は著しく,困難とされてきた齲蝕象牙質内層への接着性の向上が図られ,新たな接着技法も確立された.材料の進展に伴いエナメル質の接着に関して新たな視点による再評価もなされ,より低侵襲な歯面処理法で確実な接着が得られるようになった.使用される光重合型コンポジットレジンの重合収縮による窩洞内のギャップ形成については,様々な臨床的な技法によりその問題解決法が確立された.さらに無髄歯のコロナルリーケージの防止のための接着性レジンの活用法も確立された.これらの研究の進展の背景には,新たな接着試験法や光干渉画像診断装置など,評価法の進展が果たした役割が大きい.

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© 2023 一般社団法人 日本歯科理工学会
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