日本歯科理工学会誌
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42 巻, 1 号
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総説
  • 田上 順次
    原稿種別: 総説
    2023 年 42 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2023/01/25
    公開日: 2023/03/07
    ジャーナル フリー

    20世紀後期に我が国においてはじめて実用化された接着性レジン修復は,広く歯科臨床に普及し,新たな臨床活用法も提案されている.特に,歯質とレジンとの接着界面の封鎖性向上のための多くの研究が行われてきた.象牙質に対する接着性の向上は著しく,困難とされてきた齲蝕象牙質内層への接着性の向上が図られ,新たな接着技法も確立された.材料の進展に伴いエナメル質の接着に関して新たな視点による再評価もなされ,より低侵襲な歯面処理法で確実な接着が得られるようになった.使用される光重合型コンポジットレジンの重合収縮による窩洞内のギャップ形成については,様々な臨床的な技法によりその問題解決法が確立された.さらに無髄歯のコロナルリーケージの防止のための接着性レジンの活用法も確立された.これらの研究の進展の背景には,新たな接着試験法や光干渉画像診断装置など,評価法の進展が果たした役割が大きい.

原著
  • 畑中 昭彦, 澤田 智史, 染屋 智子, 千 和世, 斎藤 貴裕, 佐々木 かおり, 服部 雅之, 武本 真治
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 42 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2023/01/25
    公開日: 2023/03/07
    ジャーナル フリー

    本研究では同種CAD/CAM用歯冠修復材料間の摩耗挙動について二体摩耗試験を用いて検討した.ジルコニア(ZR),二ケイ酸リチウム含有ガラスセラミックス(LS),コンポジットレジン(RC)を用いてクラウン形状の研磨試料と板状の基材試料を作製した.試料を固定後,二体摩耗試験は室温,水中下,荷重4.9 N,ストローク幅5 mm,ストローク回数30,000回の条件下で行った(n=6).試験後は輪郭形状試験機,3Dレーザー顕微鏡,走査電子顕微鏡にて試料摩耗面を評価した.同種材料における摩耗量は研磨試料と基材試料双方で,ガラス相を含まないZRで最も小さく,RC,LSの順に大きな値を示した.研磨試料の摩耗痕はレジンマトリックスやガラス相を含むRCとLSで明瞭であった.基材試料での最大摩耗幅と最大摩耗深さはLSで最も大きな値を示した.このことから,材料の組成や構造の違いが同種材料間での摩耗挙動に影響を与え,臨床での材料選択で考慮する必要があることが示唆された.

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