開発にあたって
近年,美しく健康な歯並びを手に入れたいという機運が高まり,歯列矯正治療の需要が年々増加している.中でも装着しているのが目立たないマウスピース矯正が増加傾向となっている.しかし,マウスピース矯正装置の製作は非常に煩雑(①CAD設計→②各ステップに対応した3Dプリンター模型造形→③熱圧成形→④手作業で模型と成型済シートの取り外し→⑤手作業で成型済シートをハサミ等で切断→⑥研磨)で,また,④⑤⑥に関しては術者の技量に応じて所要時間や完成度が異なる.そこでDental Manufacturing Unit GmbH(DMU社)のレーザーアライナーカッター(LAC:図1)の登場となった.開発に際し,最大の効率と堅牢性に焦点を当てた.上記④の工程は,LAC-セパレーター(図2)を使用することにより,数十秒での取り外しが可能となる.また⑤の工程は,LAC-レーザーアライナーカッターを使用することで約60秒以内にレーザー切断が可能となり,辺縁が均一で丸みを帯びているため⑥の工程が不要となる.本装置の革新的な点は,アライナー用に特別に開発された波長を持つ特殊なレーザー光源を使用していることである.この波長により,均質なカットと融解により,わずかに丸みを帯びた辺縁が得られるため本装置でレーザー切断したアライナーを口腔内に装着した際の快適性向上に繋がる.図1に示す本装置はオーストリアのザルツブルグで開発され,2022年に世界市場に導入,以来100万人以上の患者症例に使用されている.