日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
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短報
障害児におけるヨーグルト摂取の実態と物性に関する検討
髙橋 摩理内海 明美向井 美惠
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2007 年 11 巻 3 号 p. 187-194

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抄録

【目的】ヨーグルト(以下YG)は,摂食・嚥下機能不全の小児に高頻度に摂取される食品のひとつである.現在数多くのYGが市販されており,商品により特性にも差が認められると推察される.そこで,障害児の口腔機能に適したYGの要件を知ることを目的に,本研究を実施した.

【対象と方法】医療機関および療育センター各施設の摂食外来を継続的に受診している障害児50名の保護者を対象に,YGの摂取状況に関する聞き取り調査を行った.次に,対象児が摂取している市販のYG12品及び市販のベビーフードの機械的物性試験を行った.

【結果】 1.YGを1日2回以上摂取する児は42%であった.対象児の82%はYGを10分以内に摂取しており,「摂取時にむせる」と回答した保護者は認められなかった.

2.対象児が摂取している市販のYGの機械的物性はYG間で差が認められ,市販のベビーフードの離乳初期~中期食の物性に相当していた.

3.YGは,かたさ応力が大きくなるに従い付着性が有意に高く,凝集性が有意に小さくなっていた.

4.嚥下機能獲得不全と評価された小児の約40%が,付着性の高いYGを摂取していた.

【考察】聞き取り調査の結果,YGは対象児の食生活において重要度の高い食品であった.対象児が摂取するYGの機械的物性は,YG間で差が認められ,市販のBFの離乳初期~中期食の物性に相当していた.このことより,摂食・嚥下機能に問題のある小児の口腔機能に適したYGを選択する必要があると思われた.一般に食品の付着性が大きくなり凝集性が小さくなると嚥下しにくくなると推察される.YGはかたさ応力が大きくなるほど付着性が高く,凝集性が小さくなっていたことより,YGのかたさがYG選択の目安になると考えられた.

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© 2007 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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