日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
嚥下障害のスクリーニングテストの比較研究
松尾 貴央松山 美和渡辺 朱理中谷 謙
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2016 年 20 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

【目的】本研究では,嚥下スクリーニングテストの包括的な評価方法の有用性を検討した.

【方法】嚥下障害者3 例に対して,嚥下スクリーニングとして単一の項目で標準化されたテストである RSST とMWST,および包括的評価を行うStandardized Swallowing Assessment(以下,SSA)とThe Toronto Bedside Swallowing Screening Test(以下,TOR-BSST)の4つのテストを用いた評価場面をビデオ撮影し,独自に教則ビデオを作成した.その後,言語聴覚士65名(平均臨床経験年数5.2±3.6 年)を対象に,作成した教則ビデオを視聴させた後,アンケート調査を実施した.アンケートの質問は10 項目で,嚥下障害のスクリーニングテストにおける ① 簡便性,② 嚥下障害における問題の所在の確認と推測,③安全性,④ 重症度の判定,⑤ 食事形態の決定への活用,⑥ 嚥下訓練につながるアセスメントの可否,⑦嚥下訓練の効果判定,⑧ 嚥下機能の経時的変化,⑨ 嚥下障害の検出力,⑩ 総合的な使い勝手,についての ① から ⑩ 項目で構成され,各質問を「思わない」から「そう思う」までの5 件法で尋ねた.解析方法はKruskal-Wallis 検定を用いて,有意水準5% 未満として検討した.

【結果】単一項目で行う評価方法と包括的に行う評価方法との比較では,今回使用したアンケート調査の10 項目中7 項目( ②,④,⑤,⑥,⑦,⑧,⑨)において,包括的評価方法の有用性が支持された.

【結論】術者の主観的な評価として,今回調査した4 つすべての嚥下スクリーニングテストは総合的に使い勝手がよいと判断され,さらにSSAやTOR-BSSTで用いられる包括的な評価方法は,嚥下障害の問題の所在の確認および推測,嚥下障害の重症度の判定,食事形態の決定への活用,嚥下訓練につながるアセスメントの可否,嚥下訓練の効果判定,嚥下機能の経時的変化を捉えていくことへの活用,嚥下障害の検出力において,RSST やMWST を単一項目で評価する場合よりも有用であることが示唆された.

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© 2016 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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