2017 年 21 巻 3 号 p. 156-164
本研究の目的は,COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease: 以下COPD)患者の嚥下障害のリスクとその影響要因の実態を明らかにし,誤嚥性肺炎予防のための看護ケアの基礎的資料とすることである.COPD と診断され外来通院している62 名を対象に,自記式質問票,身体機能検査,診療録によりデータ収集を行い,嚥下障害リスクの影響要因に関して分析した.対象者のうち,嚥下障害リスクありと判断された者は46.8% であり,COPD 患者における嚥下障害リスクが少なくないことが推測された.COPD 患者の嚥下障害リスクの指標となりうる要因として,歯牙や義歯の適切さ,COPD の罹患期間の長さが明らかになった.看護として,これらの影響要因を評価し,COPD 患者の嚥下障害のリスクを見極める必要性が示唆された.