日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
症例報告
Beckwith-Wiedemann 症候群の摂食嚥下障害に対する摂食嚥下機能獲得までの当科小児摂食嚥下外来の対応と経過
若林 宣江伊藤 弘人山川 道代上野 泰宏井上 千恵子神部 芳則森 良之
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2017 年 21 巻 3 号 p. 209-213

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抄録

Beckwith-Wiedemann 症候群と診断され巨舌が原因で哺乳障害が認められた女児の,摂食嚥下機能獲得までの当科小児摂食嚥下外来の対応と経過について報告する.

患者は3 か月の女児,出生時より巨舌がみられ,生後約3 か月,巨舌に対し当院形成外科にて舌縮小術が施行された.巨舌による舌の突出は改善されず,哺乳障害を認め,摂食嚥下訓練目的に当科紹介受診となった.初診時,巨舌による口唇閉鎖不全を認め,吸啜反射がまったくなかった.経鼻胃管のチューブが留置され,上下唇周囲に医療用テープが強固に貼付されていた.

臨床診断: 摂食嚥下の準備期機能不全.過敏を取り除くため脱感作を開始,その後はヨーグルトの味覚刺激による嚥下促通訓練を行い,唾液嚥下を促した.その際,母親や担当看護師にも訓練の目的を説明し,家族の積極的な訓練への参加をお願いした.特に,口唇介助は積極的に行うように促した.口唇介助にて舌の後方移動と口唇閉鎖を獲得,嚥下促通訓練から,離乳中期食を用いて捕食から直接訓練を開始した.

2 回目の舌縮小術施行後,一時経口摂取の拒否がみられたが,食形態の調整により幼児食の摂取が可能となった.

本症例は,出生後に舌縮小手術や気道確保のための経口挿管が行われ,頻回の口腔内吸引や,長期の経鼻経管栄養など口腔周囲にさまざまな不快体験を強いられ,経口摂取を困難にさせる状態であった.しかし,早期の摂食嚥下指導や,家族の介入により摂食嚥下機能の獲得につながったと考えられた.

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© 2017 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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