日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
臨床試験で用いた凍結含浸法による形状保持軟化調理食品の力学特性
中津 沙弥香若﨑 由香渡邊 弥生梶原 良柴田 賢哉藤島 一郎重松 孝金沢 英哲西村 立長尾 菜緒大塚 純子神山 かおる坂本 宏司
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2018 年 22 巻 2 号 p. 108-119

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抄録

【目的】臨床試験に用いられた凍結含浸法による形状保持軟化調理食品(以下,凍結含浸食)の力学特性を解析し,測定値から食べやすさや食感を考察した.【方法】試料には,凍結含浸食に含まれた 18種類の軟化素材(以下,軟化素材)と,比較食品として 3種類の病院の嚥下移行食および市販絹ごし豆腐を用いた.力学特性は, 2バイトテクスチャー試験と,目開き 1 mmのナイロンメッシュ上の残渣物より評価した. 2バイトテクスチャー試験では,硬さ,付着性,凝集性およびバランス度を測定した.残渣物評価では,重量測定した試料を水中で撹拌させた後,ナイロンメッシュに通し,残った残渣物を重量測定して残渣率を算出し,さらに残渣形状も観察した.【結果および考察】 2バイトテクスチャー試験の結果から,軟化素材の中では,野菜および肉団子が魚介に比べて潰しやすく,成型素材の肉団子が非成型の野菜,魚介,畜肉に比べてまとまりやすい傾向であった.付着感をみるには,付着性の値よりもバランス度の値のほうが適していた.残渣率は,軟化素材が嚥下移行食に比べて有意に値が小さかった.特に値の小さかったブロッコリー,カリフワラー,サトイモおよびジャガイモは,繊維感や残留感が少なかったと考えられた.【結論】臨床試験に用いた凍結含浸食に含まれた軟化素材の力学特性を解析した結果,凍結含浸食は,食感の多様性があり,潰しやすく,まとまりやすかったことが示唆された.

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© 2018 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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