日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
若年健常者における舌筋力訓練の効果
矢野 実郎山本 五弥子横山 友徳熊倉 勇美花山 耕三椿原 彰夫
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2018 年 22 巻 2 号 p. 120-126

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抄録

【目的】舌圧測定器を用いた舌圧測定と舌筋力訓練が嚥下障害者に有用であるかどうかを明らかにするために,予備実験として,健常者の舌圧変化について計測した.【対象】若年健常者 11名(男性 3名,女性 8名,平均年齢 20.6±1.2歳).【方法】 JMS舌圧測定器に接続されているバルーン状の舌圧プローブを口腔内に挿入し,プローブを被験者の舌前方部と硬口蓋の間で固定した状態で,舌筋力訓練を実施した.訓練方法は,舌前方でプローブを硬口蓋に押し付ける反復運動によって,舌筋の筋力を強化した.訓練強度は 1週目のみ最大舌圧値の 60%, 2週目以降は 80%に設定し, 1日に 30回× 3セットとした.訓練頻度は週 3回, 8週間継続とした.訓練効果を検証するために,訓練前・訓練中・訓練後の最大舌圧値を比較した.【結果および考察】 8週間訓練後の最大舌圧値( 60.7±6.7 kPa)は,訓練前の最大舌圧値( 38.5±8.4 kPa)より有意に上昇した( p< 0.01).訓練終了 1カ月後の最大舌圧値は 58.7±6.7 kPa, 2カ月後の最大舌圧値は 58.7±7.0 kPa, 3カ月後の最大舌圧値は 56.4±6.6 kPaで,いずれも訓練終了直後の最大舌圧値に比べて有意に低かった(訓練終了 1, 2カ月後: p< 0.05, 3カ月後: p< 0.01).しかし,訓練前の最大舌圧値に比べれば,訓練終了後 1~ 3カ月間の最大舌圧値のほうが有意に上昇していた( p< 0.01).今後,引き続き JMS舌圧測定器を用いた舌筋力訓練の基礎データ(若年健常者,高齢健常者など)を収集・分析し,高齢者のフレイルやサルコペニアの予防,さらに摂食嚥下障害患者の訓練に応用したい.

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© 2018 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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