2022 年 26 巻 1 号 p. 10-16
【目的】嚥下造影検査(VF)おいて,固形物の食事提供の可否を目的とした,検査評価項目を4 項目に絞り,スコア化した評価基準を考案した.
【対象と方法】対象は,2018 年2 月から2021 年4 月までに,当院でVF を行った151 例である.検査対象食物はゼリーを用いた.評価項目は,① 咀嚼(咀嚼様運動)・舌の動き,② 口腔から咽頭への送り込み,③ 嚥下反射の惹起性,④ 嚥下による咽頭クリアランスの4 項目で,それぞれ0 点(正常)~ 3 点(重症)でスコア化した.検査後に,固形物の食事提供がどの程度可能であったかを検討した.
【結果】VF 後1 カ月以内に,藤島の摂食・嚥下能力グレード5 以上の固形物の摂食が可能であった症例の割合(摂食可能率)は,4 項目共に点数が高くなるにつれ低下する傾向にあり,いずれの項目も0 点に比べ,2 点,3 点の症例では,有意に摂食可能率が低かった.
【考察および結論】今回考案した4 項目において,すべての項目で点数に応じて摂食可能率は低くなる傾向にあった.今後は,症例数を増やし,妥当性について検証したい.