日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
症例報告
多職種による長期の外来嚥下訓練にて嚥下機能の改善を認めた2 例
金井 枝美西山 耕一郎槇野 雅世廣瀬 裕介粉川 将治小田 海佐々木 由紀子足立 徹也
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2024 年 28 巻 2 号 p. 121-127

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抄録

 嚥下機能低下を呈した2 例の高齢者に対し,外来定期通院により嚥下機能評価及び嚥下指導,嚥下訓練,食事指導を継続的に実施した.嚥下機能評価は,嚥下内視鏡検査にて兵頭スコアを測定した.嚥下指導は,嚥下時の姿勢調整とペーシング等を指導した.嚥下訓練は,喉頭挙上訓練と呼吸機能訓練を毎食前にするように指導した.訓練内容は,嚥下おでこ体操,顎持ち上げ体操,吹き戻しを毎食前各10 回,1 日3 セットとした.症例1 は79 歳,男性.初診時の兵頭スコアは8 点であり,びまん性嚥下性細気管支炎を疑った.6 年間の嚥下指導と訓練にて兵頭スコアは5 点に改善した.症例2 は70 歳代後半の男性.初診時の兵頭スコアは6 点であり,びまん性嚥下性細気管支炎を疑った.2 年間の嚥下指導と訓練にて兵頭スコアは4 点に改善した.両例ともに定期的に外来にて,嚥下機能評価と嚥下指導の再確認および嚥下訓練を行った.その結果,両例ともに嚥下機能の改善を認め,誤嚥性肺炎による入院を回避できた.

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© 2024 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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