日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
誤嚥性肺炎患者における入院中および退院時の普通食摂取に関連する因子
重政 光彰服部 宜裕竹岡 雅美矢富 嘉昭栢下 淳
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 29 巻 3 号 p. 101-110

詳細
抄録

 【目的】誤嚥性肺炎は日本の死亡原因上位であり栄養や嚥下機能障害が発症・重症化に関与する.経口摂取,特に普通食を摂取することは,誤嚥性肺炎患者の栄養管理や生命の質(Quality of Life: QOL)維持に重要である.入院前に普通食を摂取していた患者が誤嚥性肺炎で入院した際,入院中・退院時の普通食摂取の可否の関連要因を検討した.

【対象・方法】誤嚥性肺炎で入院した65 歳以上の患者2 例のうち,入院前に普通食((Food Intake Level Scale: FILS)8–10)を摂取していた123 例を対象に入院7 日目のFILS で「普通食群」と「嚥下調整食群」に分類し,退院時転帰を比較した.さらに,生存退院患者101 例(男性61 例,女性40 例)における入院7 日目と退院時の食形態の変化,ならびに普通食摂取に関連する要因を分析した.

【結果】生存退院率は,普通食群63 例(91.3%)で,嚥整食群38 例(70.4%)と比較して有意に高かった(p<0.01).嚥下調整食群38 例のうち9 例(8.9%)は非経口摂取であった.普通食群は嚥下調整食群と比較して,生存退院率,退院時FILS,元の居住地への復帰率が有意に高く,入院時の体格指数(Body Mass Index: BMI)・簡易栄養状態評価表(Mini Nutritional Assessment-Short Form: MNA-SF),入院7 日目のBarthel Index(BI)・エネルギー摂取量も良好であった.退院時の普通食維持率は,入院7 日目時点での普通食群の患者63 例のうち57 例(90.5%)であった.入院7 日目に普通食摂取に関する多変量解析では,BI(OR 1.04,95% CI: 1.02–1.07,p=0.002),BMI(OR 1.22,95% CI: 1.01–1.47,p=0.040),体重1 kg あたりのエネルギー摂取量(OR 1.08,95% CI: 1.01–1.16,p=0.025)の3 項目において有意な関連がみられ,退院時普通食摂取においても同様の項目に有意な関連がみられた.

【結論】誤嚥性肺炎患者において,入院7 日目に普通食取していた患者は,退院時にも普通食を継続している割合が高かった.退院時に普通食を摂取するためには,早期から十分なエネルギー摂取を確保し,日常生活動作(Activities of Daily Living: ADL),嚥下機能評価を含む多職種による包括的な介入が重要である.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
次の記事
feedback
Top