症例はクローン病の 37歳男性,食後の嘔吐と頻回な下痢を認め, A病院に入院した.病理診断では確定には至らなかったが,病歴からクローン病が疑われ,加療目的で当院へ転院した . 患者は発達障害により治療途中の絶食指示を守れず,穿孔性腹膜炎を発症し人工肛門造設術が施行された.術後に抜管するも誤嚥性肺炎に起因する呼吸状態の悪化により再挿管を繰り返し,気管切開術が施行された.その後,術後の侵襲や不活動,低栄養によるサルコペニア性嚥下障害を認め,嚥下機能の精査のために実施した嚥下造影検査では,咽頭残留・誤嚥が確認された.患者は発達障害によるこだわりの強さや理解力の低下に加えて耐久力低下を認めており,頭部挙上訓練や開口訓練,舌抵抗訓練などの従来の嚥下訓練を適切に実施することが困難であった.そのため,反復した嚥下反射の惹起に神経筋電気刺激療法を併用した訓練を実施した.その結果,意欲的に訓練に取り組むことで嚥下機能の改善を認め,普通食の摂取が可能となった.サルコペニア性嚥下障害患者に対して,本訓練が有効である可能性が示唆されたため,若干の文献的考察とともに報告する.