日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
短報
人工呼吸管理を要する気管切開患者に摂食嚥下機能評価・直接嚥下訓練は安全に実施できるか
天白 陽介渡邉 哲小黒 秀樹辰巳 寛後藤 縁笠井 史人
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2026 年 30 巻 1 号 p. 46-53

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抄録

【目的】本研究の目的は人工呼吸管理中の気管切開患者に対して摂食嚥下機能評価を実施し,早期からの直接嚥下訓練の実現可能性及び安全性を検討することである.

【方法】研究デザインは後方視観察研究である.対象は 2022年 12月から 2023年 12月までに名古屋掖済会病院集中治療室へ入室し,気管切開を実施された後に 48時間以上の人工呼吸管理を必要とした患者のうち,人工呼吸器装着下で言語聴覚士(ST)の介入があり,除外基準に該当しなかったものとした.評価項目は患者属性,入院経過,摂食嚥下機能評価に関する項目,摂食嚥下機能評価・直接嚥下訓練開始後の有害事象の有無とし,診療録より後方視的に収集した.摂食嚥下機能評価開始基準として意識状態や昇圧剤・鎮静剤の不使用,人工呼吸器設定などの項目を定め,クリアした場合に評価を実施した.摂食嚥下機能評価は Modified Evan’s Blue Dye Testのプロトコルに準じた評価を 3日間実施した.誤嚥所見を認めた場合は,カフ上部吸引チューブより酸素を投与するコンスタントフロー法を併用して再度評価した.評価期間において誤嚥所見を認めず,バイタルサインや呼吸様式の変動がない場合を「通過」と定義し,直接嚥下訓練を開始した.摂食嚥下機能評価においてコンスタントフロー法を要した場合,直接嚥下訓練もコンスタントフロー法併用下に実施した.

【結果】研究対象は 10名(年齢中央値は 73歳,男性が 4名)であった.うち 9名は有害事象を生じることなく,摂食嚥下機能評価・直接嚥下訓練を実施できた. 1名は直接嚥下訓練開始後に肺炎を合併し人工呼吸器の離脱が困難となった.

【結論】人工呼吸管理を要する気管切開患者に対して,開始基準を明示し,厳重なリスク管理下で摂食嚥下機能評価を実施することにより,直接嚥下訓練を実施できる可能性がある.

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