日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
臨床報告
嚥下補助装置(Swalloaid)を適応した4症例について
細野 純稲垣 明弘田村 文誉水上 美樹中村 厚一岡野 哲子向井 美惠
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2001 年 5 巻 2 号 p. 150-156

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抄録

訪問歯科診療のなかで摂食機能療法を行った摂食・嚥下障害者4名を対象に,Swalloaidを作製,装着した結果,以下の知見を得た.

1)症例1では,オーラルディスキネジアが激減し,顎の不随意(上下)運動が減少し,捕食から嚥下ま での時間が短縮した.

2)症例2では,喉頭挙上量の改善とともに唾液嚥下が可能となり,直接訓練への移行段階に進むことが 可能となった.

3)症例3では,食塊の形成と咽頭への送り込みが改善され,食事時間が短縮し,むせが減少した.

4)症例4では,下顎の顎堤に形成されていた褥瘡は消失した.また口腔内食物残留が減少し,食事時間 の短縮につながった.

Swalloaidの装着により摂食・嚥下機能不全が改善されたことから,本装置は摂食・嚥下機能を援助できうる可能性が示唆された.オ一ラルディスキネジア,痴呆症や,義歯装着の拒否等,下顎義歯床の装着が困難なケースにおいてSwalloaidは有効であり,また,歯の欠損状態,対合する顎堤形態,舌機能状態等に応じてSwalloaidの設計形態を変化させることで,適応範囲は拡大すると考えられた.

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© 2001 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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