日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
臨床報告
通園療育における摂食指導
篠崎 昌子山梨 由利子本村 文子鑓水 浩二川崎 葉子内田 武
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 8 巻 1 号 p. 46-54

詳細
抄録

通園療育での摂食指導において,1)食物形態,2)哺乳びんの長期使用,3)一人食べに移行する時期の3点について検討し,以下のような結果を得た.1)摂食・嚥下機能の発達段階に比べ,難しい形態の食物を摂っていることがある.機能に適した食物形態とし,さらに介助方法,姿勢のコントロールなどの指導を行い,機能向上がみられることが多かった.2)長期間の哺乳びんの使用は,舌突出や乳児様嚥下の残存,口唇閉鎖不全など摂食・嚥下機能発達を妨げる症状を助長する可能性がある.捕食機能獲得段階以上であれば,段階を追ったスプーンやコップを使用することが,機能発達を促すために必要である.3)咀嚼の動きが出てくると一人食べを促しがちであるが,一人で食べていることが必ずしも摂食機能が良いことと同一ではない.幼児期の間は一人食べを急がず介助食べを十分取り入れ,すりつぶし機能までの口腔内処理能力を高めておく必要がある.一人食べを急ぐことにより,口腔機能発達の停滞や低下を来すことがあるので,注意が必要である.通園療育におけるチームアプローチによる摂食指導は,園内のみならず,統合保育を行う関係機関とも連携し,さらに学童期以後も継続していく必要がある.

著者関連情報
© 2004 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top