抄録
災害復興の理念を、「被災された人々が生活を再建し、被災した地域社会の再生と、集落や市街地の安全化によって再度被災を軽減し、被災自治体が被災者と協働して取り組む地域再生と持続的発展を目指す取り組み」として日本災害復興学会は設立された。これまでの成長社会から、これからは縮減しても質的な満足を目指す持続可能社会へ、災害復興の概念は再構築が求められている。被災後の復興の行方―復興、復旧、衰退―と、その復興を評価する三つの視角―復興主体、復興対象、復興意向―を整理したうえで、「復興」の概念を構成する9の軸線―主体・対象・理念・目標・意向・空間・過程・未来・時制―を提案した。それらの軸線は一つ一つの災害の現場で、復興主体がどのような復興を目指すのかを位置づける、復興評価を相対化する軸線として整理したものである。