抄録
本稿は、2009年から2011年にかけて日本災害復興学会に設置された「復興とは何かを考える委員会」の活動を記録し、その議論を整理しつつ、今後の復興に関する議論に貢献することを目的としている。この委員会の議論の結果、復興とは何かという問いに対しては、1)理念的アプローチとして「どのような社会を目指すか」2)メカニズム的アプローチとして、「復興を成し遂げるにはどのような要素が必要か」3)ガバナンス的アプローチとして「復興をどのように決定し進めていくか」そして4)能力的アプローチとして「復興するための力や技術は何か」の4つに分類できることがわかった。さらに今後の復興を巡る課題として、復興と土地の関係について、マクロ的な制約について、そして「復興」という言葉の持つ政治性についての論点を指摘した。