2007 年 40 巻 10 号 p. 877-881
近年CAPD施行症例の増加に伴って, CAPD横隔膜交通症の報告が増加しつつある. 今回われわれは, CAPD導入14か月後に左側胸水を発症し, 99mTc-Sn-colloidシンチによりCAPD横隔膜交通症と診断した1例を経験した. 症例はCAPD導入14か月後の62歳, 女性, 咳嗽を認め, 体重が7kg増加した. 胸部X線写真では左胸水多量貯留を認め, 胸水穿刺では胸水中の糖濃度の上昇を認めなかった. 左胸水の精査のため, 99mTc-Sn-colloidを腹膜透析液に混入し, 腹腔内投与を行ったところ, 4時間後に放射性同位元素の左胸腔内への集積を認め, 横隔膜交通症と診断された. 1か月の腹膜透析中断の後, 透析液注入量を減らしCAPDと血液透析の併用を行い, 胸水の再発を認めていない. CAPD横隔膜交通症において左側胸水は比較的まれであり, 放射性同位元素を用いて診断できた1例を経験したので報告する.