日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者における透析前後の味覚の比較
楢崎 有季子堀尾 強小野山 攻
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2009 年 42 巻 1 号 p. 71-76

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抄録
小野山診療所に通院する血液透析患者67名(男性38名,女性29名)を対象に,甘味,塩味,酸味,苦味,うま味の5基本味について透析前後に閾上濃度の味覚感度を調べた.測定は,全口腔法を用いた.各溶液2種(1gust,10gust)の濃度について味覚感度を調べ,LMSスケール(Labeled Magnitude Scale)に感じた強さを記入させた.透析患者の味覚感度は,苦味において透析前にくらべ透析後で有意に高くなった(p<0.05).ほかの味に対する感度は,透析前後に相違はみられなかった.年齢では,塩味,うま味において65歳以上の高齢者にくらべ65歳未満の患者の感度がよかった(p<0.05).性別では,甘味,塩味,酸味において男性にくらべ女性の感度がよかっ た(p<0.05).血清亜鉛値は全体的に低値を示し,各味との相関は認めなかった.以上,透析後によって苦味の感度が上昇し,透析により味覚が改善されることが示唆された.
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© 2009 一般社団法人 日本透析医学会
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