抄録
症例1は68歳,女性.血液透析18年目に肛門管腫瘍切除術を施行された.腫瘍組織は管状腺癌であった.固有筋層および粘膜下組織の小動脈にβ2-microglobulin染色陽性のアミロイド沈着を認めた.症例2は75歳,女性.血液透析18年目に頸椎前方固定術の術後にS字結腸憩室穿孔による腹膜炎を発症した.組織標本にて漿膜下組織の静脈にβ2-microglobulin染色陽性のアミロイド沈着がみられたが,粘膜,粘膜下組織,筋層には認めなかった.いずれも長期血液透析患者であり,先行する消化器症状はなく,偶然,消化管アミロイドーシスが発見されたが,腸管のアミロイド沈着部位は異なっていた.長期透析患者では,消化管アミロイドーシスは常に念頭におくべき疾患であると考えられた.