2009 年 42 巻 9 号 p. 711-716
症例は57歳,男性.腎硬化症に伴う末期腎不全にて2000年5月に血液透析が導入された.2008年1月,経過観察中のCTにて左腎に造影効果のある嚢胞性腫瘤を認め,後天性嚢胞腎に発生した腎癌の可能性が高いと診断し,同年2月22日,後腹膜鏡下左腎摘除術を施行した.摘出組織の病理診断はAcquired cystic disease-associated eosinophilic renal cell tumorであり,その組織学的特徴は大型の好酸性細胞が充実性に増殖し,シュウ酸カルシウムの沈着を認めるという従来の腎癌の組織分類に当てはまらないものであった.