日本透析医学会雑誌
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症例報告
α-グルコシダーゼ阻害剤内服中の血液透析患者に腹腔内遊離ガス像を伴う腸管嚢腫様気腫症を発症した1例
粕本 博臣成山 真一山本 貴敏金光 秀史西田 賀計伊東 芳江氷室 恵子景山 一美櫻井 麻美中田 千鶴子木原 陽子中西 健
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2010 年 43 巻 11 号 p. 939-943

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抄録
症例は88歳,男性.2008年7月から糖尿病性腎症由来の慢性腎不全のため血液透析導入となった.同時期よりインスリンによる血糖コントロールを中止し,α-グルコシダーゼ阻害剤(ボグリボース)の内服を開始した.2008年11月下旬頃より腹部膨満感を自覚,11月30日腹部CTにて腹腔内遊離ガス像を認めたため入院となった.腹膜炎症状を認めなかったため絶食のみにて経過観察としていたが,腹部膨満感は改善しなかった.12月4日試験開腹施行,消化管穿孔はなく回腸末端より約70cm~150cmの回腸腸間膜側に腸管嚢腫様気腫症を認めた.腸管嚢腫様気腫症の原因はいまだ解明されていないが,最近α-グルコシダーゼ阻害剤による発症の報告が散見されるようになってきた.本症例でもα-グルコシダーゼ阻害剤が原因に関与している可能性があると考えられた.
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© 2010 一般社団法人 日本透析医学会
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