2011 年 44 巻 1 号 p. 1-36
2009年末の統計調査は全国の4,196施設を対象に実施され,4,133施設(98.5%)から回答を回収した.2009年末のわが国の透析人口は290,661人であり,昨年末に比べて7,240名(2.6%)の増加であった.人口百万人あたりの患者数は2,279.5人である.2008年末から2009年末までの1年間の粗死亡率は9.6%であった.透析導入症例の平均年齢は67.3歳,透析人口全体の平均年齢は65.8歳であった.透析導入症例の原疾患ごとのパーセンテージでは,糖尿病性腎症が44.5%,慢性糸球体腎炎は21.9%であった.施設調査の結果,日本透析医学会の透析液水質管理基準である透析液エンドトキシン濃度0.05EU/mL未満は,回答施設の84.2%において達成されていた.回答施設の98.2%において,日本透析医学会の透析液水質管理基準による細菌数推奨値100cfu/mL未満は達成されていた.患者調査において腹膜透析とともに血液透析など体外循環を利用した血液浄化法を併用しているとされた患者は1,720人であった.日本透析医学会の二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドラインが推奨する管理目標を,血清カルシウム濃度,血清リン濃度,そして血清intact-PTH濃度の三つのパラメータ全てにおいて満たしていた患者は,全体の24.8%であった.調査回答患者の9.8%に認知症合併を認めた.