日本透析医学会雑誌
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44 巻 , 1 号
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わが国の慢性透析療法の現況(2009年12月31日現在)
  • 中井 滋, 井関 邦敏, 伊丹 儀友, 尾形 聡, 風間 順一郎, 木全 直樹, 重松 隆, 篠田 俊雄, 庄司 哲雄, 鈴木 一之, 谷口 ...
    2011 年 44 巻 1 号 p. 1-36
    発行日: 2011/01/28
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    2009年末の統計調査は全国の4,196施設を対象に実施され,4,133施設(98.5%)から回答を回収した.2009年末のわが国の透析人口は290,661人であり,昨年末に比べて7,240名(2.6%)の増加であった.人口百万人あたりの患者数は2,279.5人である.2008年末から2009年末までの1年間の粗死亡率は9.6%であった.透析導入症例の平均年齢は67.3歳,透析人口全体の平均年齢は65.8歳であった.透析導入症例の原疾患ごとのパーセンテージでは,糖尿病性腎症が44.5%,慢性糸球体腎炎は21.9%であった.施設調査の結果,日本透析医学会の透析液水質管理基準である透析液エンドトキシン濃度0.05EU/mL未満は,回答施設の84.2%において達成されていた.回答施設の98.2%において,日本透析医学会の透析液水質管理基準による細菌数推奨値100cfu/mL未満は達成されていた.患者調査において腹膜透析とともに血液透析など体外循環を利用した血液浄化法を併用しているとされた患者は1,720人であった.日本透析医学会の二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドラインが推奨する管理目標を,血清カルシウム濃度,血清リン濃度,そして血清intact-PTH濃度の三つのパラメータ全てにおいて満たしていた患者は,全体の24.8%であった.調査回答患者の9.8%に認知症合併を認めた.
第55回日本透析医学会シンポジウムより
総説
原著
  • 吉田 綾, 奥津 一郎, 浜中 一輝
    2011 年 44 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2011/01/28
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    われわれは1995年より肘部管症候群に対する低侵襲手術として,Universal Subcutaneous Endoscope(USE)systemを用いた内視鏡手術を行っている.本術式の手術成績について調査した.臨床症状と尺骨神経伝導速度検査から肘部管症候群と診断し,内視鏡手術を行った長期血液透析患者118肘102症例を対象とした.手術は局所麻酔下で空気止血帯は用いず,外来日帰り手術で行った.肘部管部に1~3cmの皮膚切開を置き尺骨神経を直視下に展開,Osborne靭帯を直視下に切離し,USE systemを挿入,内視鏡で尺骨神経の観察を行い病変の範囲を決定し,神経周囲の筋膜等の軟部組織を切離した.神経内の血流再開と新たな絞扼部位が出現していないことを確認して手術を終了した.術後,日常生活動作制限は行わなかった.平均追跡期間は18か月,臨床症状の改善率および改善週数はそれぞれしびれ感74%,平均9週;痛覚87%,平均10週;触覚85%,平均10週であった.徒手筋力テストで一段階以上の改善例は小指外転筋筋力71%,平均4か月;第一背側骨間筋筋力72%,平均5か月であった.術前術後ともに神経伝導速度検査を行った72肘において,術前運動神経伝導速度測定可能な63肘のうち術後43肘で改善し,術前測定不能9肘のうち4肘が測定可能となった.経過観察期間中に再発例はなかった.術後出血による血腫形成を2肘で認めた.本術式の利点は除圧前後の神経病変が詳細に拡大観察できること,神経病変の存在する可能性がある範囲を肘部管の中枢と末梢各々10cmの範囲で評価し病変部位に応じた神経除圧が行えること,神経の全周性剥離や移動を行わないため術後固定が不要なことである.また空気止血帯を用いず局所麻酔で行えるため透析患者のシャント側でも施行可能である.今回の術後成績より低侵襲手術としての本術式は有用であると考えられる.
  • 若杉 三奈子, 風間 順一郎, 成田 一衛
    2011 年 44 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2011/01/28
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    【背景】二次性副甲状腺機能亢進症の術前局在診断に,99mTc-methoxyisobutylisonitrileシンチグラフィ(以下99mTc-MIBIと略す)が日本国内で汎用されている.その理由は,本法が他の画像診断に比較して優れているという定評が臨床現場にあるからであるが,十分証明されてはいない.【目的】日本の二次性副甲状腺機能亢進症患者で副甲状腺摘出腺数をゴールドスタンダードとした場合,99mTc-MIBIの感度を明らかにする.【研究デザイン】システマティックレビューおよびメタアナリシス.【データ源】PubMed,医中誌Web,手検索.【研究の選択】適格基準:日本で副甲状腺摘出術を行った二次性副甲状腺機能亢進症患者で,術前局在診断に99mTc-MIBIを施行.除外基準:原発性副甲状腺機能亢進症患者データと区別不能,99mTc-MIBIの撮影方法が不明,初回手術ではない,症例報告,総説,英語以外の外国語論文,論文化されていない抄録.【アウトカム】主要アウトカムは摘出腺数に対する99mTc-MIBIの感度,副次アウトカムは他の術前画像診断の感度.【結果】ケース・シリーズ8論文,症例数合計96名,摘出副甲状腺数348腺が該当し,99mTc-MIBIの感度は72%[95%信頼区間=67~77%]であった.他の術前画像診断の感度は,US 68%(163/238腺),CT 40%(44/111),MRI 65%(46/71),201TlCl/99mTcサブトラクション法40%(57/143)であった.【考察】諸外国の報告では99mTc-MIBIの感度が低いものもある.感度は疾患の重症度に影響を受けるため,各国の臨床現場で手術適応が異なっていることが影響している可能性がある.【結論】日本の二次性副甲状腺機能亢進症患者では,99mTc-MIBIは高い感度を有する.
症例報告
  • 長谷川 浩一, 小山 雅之, 小原 史生, 岩井 崇, 秋山 有史, 池田 健, 雲母 公貴, 鈴木 勝雄
    2011 年 44 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2011/01/28
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は6歳,男児.平成19年6月26日,昼食後から上腹部痛と嘔吐が出現.翌27日には腹部膨満も現れたため近医を受診後,当院小児科を紹介となり精査・加療目的に入院となった.高熱と頻呼吸を伴うショック状態であったためICUへ入室となった.腹部CTにおいて多量のfree airと腹水,胃・十二指腸・小腸の拡張を認めたため上部消化管の穿孔と考え緊急開腹手術となった.胃上部大彎後壁側の破裂と食物残渣を伴った腹水が認められたため胃破裂による腹膜炎と診断し,破裂部を含む部分胃切除を行った.術後はdopamine(DOA)8μg/kg/min投与下でも収縮期血圧が60mmHg台と敗血症性ショックの状態であったことからエンドトキシン吸着(PMX)を施行した.PMX開始後より血圧は速やかに上昇し2時間後には136/70mmHgまで改善した.PMX終了後,持続的血液透析濾過(CHDF)に移行し十分な利尿も得られるようになり,3日後にはDOA,CHDFともに離脱.7月27日にはICUを退室し,12月22日に退院となった.特発性胃破裂の学童期での発症は稀であり,さらに敗血症性ショックに至り血液浄化を行った症例はわれわれが検索した限り本邦では3例目であった.小児例であっても重篤な敗血症性ショックからの早期離脱・全身状態の早期改善をはかるためにPMXを含めた血液浄化療法の施行を検討すべきであると考えられた.
  • 石井 達矢, 鈴木 仁, 松田 圭一郎, 伊藤 和香奈, 一柳 統, 長浦 主税, 菅野 秀典, 冨田 善彦
    2011 年 44 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2011/01/28
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性.腎硬化症により1991年から血液透析導入.間欠的な血尿を主訴に近隣泌尿器科受診し,膀胱鏡にて多発する腫瘍を認め,2008年9月24日当科紹介初診.膀胱鏡下生検で腺癌,尿細胞診で尿路上皮癌を認めた.CT,MRI上,壁外浸潤や転移なく多発性膀胱癌cT2N0M0の診断で,無尿の透析患者であることから膀胱全摘を選択,同年10月22日膀胱全摘術を施行した.病理組織所見は小細胞癌であった.精嚢浸潤と切除断端陽性,脈管浸潤を認めたため全骨盤への術後放射線外照射(total 60Gy)を追加した.その後2009年1月13日のCTで肝転移が出現,その後も増多増大傾向にて肺小細胞癌に準じ,透析患者であることを考慮しCPT-11とCBDCAによる全身化学療法を同年3月4日より開始した.合計6コースの化学療法を行い肝転移巣は著明に縮小,同年8月27日のPET-CTでは病巣を認めなかったため化学療法を終了し,その後脳転移の予防目的にtotal 30Gyの全脳照射を施行した.同年10月2日の評価CTにて左尿管下端と右腹直筋に新病変が出現した.セカンドライン,サードラインの全身化学療法を施行したが,病状は進行し初診時から約1年7か月後の平成22年4月28日永眠した.膀胱原発小細胞癌は稀な疾患であり,予後不良である.本邦において,血液透析患者に発症した膀胱原発小細胞癌に対して化学療法を行った報告はなく,今回われわれは,血液透析患者に発症した膀胱原発小細胞癌に対し膀胱全摘を行い,術後に発症した肝転移に対してCPT-11とCBDCAによる全身化学療法を経験したので文献的な考察を加えて報告する.
  • 亀井 宏一, 堤 晶子, 野田 俊輔, 石川 智朗, 佐藤 舞, 藤丸 拓也, 宇田川 智宏, 小椋 雅夫, 大橋 牧人, 磯部 英輔, 土 ...
    2011 年 44 巻 1 号 p. 87-92
    発行日: 2011/01/28
    公開日: 2011/02/22
    ジャーナル フリー
    乳幼児は,血液透析中に低血圧やショックに陥りやすい.また透析中不機嫌になると安静が保てなくなり,啼泣や体動などにより容易に脱血不良を起こし,さらにバイタルサインの正確な測定も困難になるなど,透析が困難になることが多い.今回われわれは,透析中に不機嫌になることを繰り返していた生後5か月の血液透析施行中の男児に,無酢酸透析液の使用を試みた.症例は,生後1か月時に,腸間膜裂肛ヘルニアによる絞扼性イレウスのために腸管穿孔を起こし,心肺停止・腎不全に陥った.心肺停止からの回復後,小腸の70%を切除する手術を行った後に,短腸症候群に対し高カロリー輸液が開始され,腎不全に対してカテーテルによる血液透析が開始された.腹腔内癒着のために腹膜透析が不可能であったため,皮下埋め込み型のバスキュラーアクセスを左外頸静脈に留置して,血液透析を継続した.透析中に不機嫌になり啼泣することを繰り返していたために,昨今低血圧や不均衡症状の改善効果が注目されている無酢酸透析液を試みることとした.それまでの透析液に含まれている酢酸は0.5mEq/Lと非常に微量であったが,無酢酸透析液に変更してから,不機嫌や啼泣が緩和され,クリットラインの低下も軽減され,安全に除水できるようになったことより,微量の酢酸が症状を引き起こしていたのだと考えられた.無酢酸透析液使用に伴う有害事象もなかった.透析液中に含まれている酢酸は,内皮細胞におけるNO産生亢進によると思われる末梢血管拡張作用や,単核球からの炎症性サイトカインの産生誘導作用などが報告されている.血圧が下がりやすく,安静が保ちにくい乳幼児の血液透析に,無酢酸透析液は有用であると考えられた.
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