日本透析医学会雑誌
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症例報告
好酸球性腹膜炎を契機に被嚢性腹膜硬化症(EPS)を発症した長期腹膜透析患者の1例
中田 純一郎濱田 千江子中野 貴則佐藤 大介鈴木 祐介鈴木 仁井尾 浩章堀越 哲富野 康日己
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2011 年 44 巻 10 号 p. 1031-1037

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抄録

症例は46歳,男性.慢性糸球体腎炎による慢性腎不全で,16年間の腹膜透析(PD)歴がある.血液透析へ移行後,右側腹部痛および嘔吐とともに腹水を認めるようになり精査したところ,好酸球性腹膜炎と診断された.Prednisolone(PSL)の内服により症状は改善し,PSLは漸減された.以後経過観察されていたが,好酸球性腹膜炎の再発は認められなかった.しかし,約17か月後より腸閉塞を繰り返すようになった.このためPDカテーテル抜去および腹膜癒着剥離術を行ったが,この際,被嚢性腹膜硬化症(EPS)と診断された.しかし,術後腹水の出現は認められず,腸閉塞の再発もみられていない.EPSの原因は多岐にわたるが,本症例は好酸球性腹膜炎の発症を契機にEPSへ進展したと考えられるまれな1例であり,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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