日本透析医学会雑誌
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症例報告
LDLアフェレシスとステロイド療法の併用が有効であったコレステロール結晶塞栓症の1例
安田 圭子佐々木 公一倭 正也川上 遊貴大畑 達哉三代 千恵岩本 匡史渕脇 栄治楽木 宏実猪阪 善隆林 晃正
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2011 年 44 巻 12 号 p. 1185-1191

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抄録
症例は81歳,女性.高血圧症,慢性腎臓病に対して近医で加療されていた.全身倦怠感を主訴に他院へ入院したが,尿量が乏しく,6日後に当院へ転院となった.当院転院時,血清クレアチニン(Cr)3.61mg/dL,尿素窒素(BUN)94.2mg/dLであった.両下肢blue toeを認めており,コレステロール結晶塞栓症(CCE)による急性腎不全,心不全と考え腎代替療法を開始.下肢皮膚生検の結果,CCEと診断した.プロスタグランジン製剤,HMG-CoA還元酵素阻害薬の投与に加え,計10回のLDLアフェレシスを施行したところ下肢の色調は改善したが,腎機能の回復はなく,第48病日からステロイド(PSL 20mg/日)の投与を開始した.その後,経時的に腎機能回復し第97病日に血液透析(HD)を施行したのを最後にHDから離脱した.本症例を含め,当院でのCCE症例14例についての診断時の検査所見と予後との関連性について検討を加え,報告する.
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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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