日本透析医学会雑誌
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原著
糖尿病合併維持血液透析症例の血糖管理の現況と予後に対する影響
櫻林 耐萱沼 賢司望月 勉野澤 宗裕滝花 義男
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2011 年 44 巻 6 号 p. 551-556

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抄録

【目的】糖尿病合併透析症例の血糖管理の現況をグリコアルブミン(GA)で評価し,予後に対する影響を検討した.【方法】対象は2004年1月1日から2009年12月31日までに山梨厚生病院で維持血液透析をした糖尿病合併症例87例.年齢65.9±10.9歳,男60例,女27例.観察期間中GAを毎月計測して平均した(平均GA).Cox比例ハザードモデルで平均GAの生存への影響を検討した.また平均GAで対象を4群に分割し,Kaplan-Meier法で生存分析を行った.【結果】観察期間は3.1±2.0年で,30名が死亡した.平均GAは21.9±4.1%.平均GAと年齢が有意に死亡を規定した(平均GA:比例ハザード1.108,95%信頼区間1.013~1.213,p=0.026,年齢:比例ハザード1.035,95%信頼区間1.001~1.070,p=0.046).平均GA 24.23%以上の群は19.05~24.02%の群に比べて有意に生存が不良であった(p=0.496,log-rang test).【結論】糖尿病合併血液透析症例の血糖管理不良は死亡危険因子である.これらの症例の透析導入後の血糖管理が重要である.

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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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