抄録
【目的】維持透析を経ない先行的腎移植(preemptive kidney transplantation:PKT)は末期腎不全(chronic kidney disease:CKD)に対する理想の腎代償療法であるが,実施割合は本邦においては依然低水準である.その普及にはCKD担当医から腎臓移植医への遅延なき紹介が鍵を握るが,紹介の時期を含めた認識に差異があるか否かを調査することを目的とした.【対象】腎疾患のセミナー聴講者であるCKD担当医42人,および2009年の移植実績上位30位タイの31施設に対してPKTに関するアンケート調査を施行した.アンケート内容は,PKTの認容度,紹介の時期などに関するものであった.【結果】CKD担当医への調査においては回答率59%で,76%がPKTの紹介実績があった.腎移植施設への紹介のタイミングはeGFRが30mL/min/1.73mm2を下回った時点が37%で,また15mL/min/1.73mm2を下回った時点での紹介も37%にみられた.血清クレアチニンでは5mg/dLを超えた時点での紹介が3mg/dLを超えた時点での紹介を上回った.一方腎移植施設への調査では,実際のPKTの紹介のタイミングでは半数以上がeGFRで15mL/min/1.73mm2を下回った時点であり,実際のPKT実施率も20%以下の施設が最多であった.また62%の施設でPKT受診時にすでにアクセスの作製がされていた.PKTの理想的な紹介時の残腎機能はほぼすべての施設がeGFR 15mL/min/1.73mm2以上のCKDステージ4あるいは3の時点としており,CKD担当医との解離がみられた.【結語】PKTを認容しているCKD担当医ですら,紹介の時期に関しては腎移植施設といまだに隔たりがみられ,その是正がPKTを増加させる鍵であると思われた.