抄録
慢性腎不全患者には血液透析,腹膜透析,腎移植の選択肢があるなか,腎移植を希望する患者が増加している.特に移植ドナーの少ないわが国では,ABO式血液型不適合腎移植が増加傾向を示すが,ABO式血液型不適合腎移植をする場合には,抗血液型抗体である抗A抗B抗体の除去をするためにアフェレシス療法が必要となる.そこで今回,当院においてABO式血液型不適合腎移植に対する二重膜濾過血漿分離交換法での置換液のアルブミン(ALB)濃度,置換液量が異なる場合の抗体価の変化率および副作用について検討した.使用したALB濃度および置換液量は,7.5% 1,500 mL,8.3% 1,800 mL,9.0% 2,500 mL,10% 2,000 mLの4群であり,すべての群で抗体価の変化率には有意差はみられなかった.また,置換液量が多いほど止血困難や疲労感の出現があり,ALB濃度が低いほど,血圧低下や嘔吐・嘔気の症状がみられる傾向であった.全症例移植は可能であったが,副作用があるため最適な二重膜濾過血漿交換療法の設定には,高濃度のALBと少ない置換液量が必要と考えられた.