抄録
目的:透析患者は動脈硬化関連合併症の状態にさらされている.動脈硬化症の指標であるbrachial-ankle pulse wave velocity(baPWV)は簡易に測定することが可能なdeviceであり,透析患者のbaPWVを測定し,種々のパラメーターとの関連について検討した.対象・方法:安定した維持血液透析中の患者138名のうち,ABIが0.9以上1.3以下の正常患者98名.baPWVはform PWV/ABI(日本オムロンコーリン社)にて測定した.血液サンプルは週始めの透析前後に行い,DNAの酸化ストレスのマーカーの8-OHdG,炎症性サイトカインのIL-6,動脈硬化関係のfetuin-AはELISAにて測定した.栄養関連ではGNRIを算出し,ESAの過去1か月の使用状況でERIを検討した.結果:baPWVの性差,原疾患が糖尿病群と非糖尿病群との検討では,有意な差は認めなかった.年齢と有意な正の相関を認め,透析歴とも有意な正の相関を認めた.栄養関係の血清アルブミンとは有意な負の相関を認め,GNRIとも有意な負の相関を認めた.また体重とは有意な負の相関を認め,BMIとも有意な負の相関を認めた.炎症のマーカーであるIL-6とは有意な正の相関を認めたが,fetuin-Aや8-OHdGとは有意な相関は認めなかった.血清Crとは有意な負の相関を認め,補正カルシウムとは有意な正の相関を認め,TIBCとも有意な負の相関を認め,β2-MGとは有意な正の相関関係を認め,ERIとも有意な正の相関を認めた.多変量解析では,血清Crとβ2-MGと有意な相関を認めた.結論:baPWVは動脈硬化症に関連する炎症,栄養状態および年齢,透析歴,中分子量物質,TIBC,補正カルシウム,ERIなどにも関与し,特に血清Crとβ2-MGがその規定因子になることが示唆された.