日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
症例報告
オセルタミビルとクラリスロマイシンによる急性腎障害が疑われ, 緊急透析を施行した1例
渡邉 廉也高橋 宏治多田 和弘石村 春令
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 47 巻 12 号 p. 755-759

詳細
抄録

症例は糖尿病歴10年の65歳女性. 2014年2月上旬, 近医にてインフルエンザBと診断され, オセルタミビル, クラリスロマイシンの内服治療を開始した. 2週間後, 徐々に尿量が低下し, 嘔吐, 全身倦怠感が出現したため, 2月中旬, 当院夜間内科外来を受診した. 来院時検査にて著明な高K血症, 腎機能障害を認め, 緊急透析を施行し入院となった. 2回目の透析後より徐々に, 尿量が改善し血液透析を2回施行し離脱した. その後, 全身状態が軽快し退院となった. 急性腎障害の原因はさまざまであるが, 本症例は受診までの経過, 来院後の検査結果からオセルタミビルとクラリスロマイシンを被疑薬とする薬剤性腎障害が最も考えられた. 両薬剤とも日常診療で頻繁に使用される薬剤であり, 投与後の経過には注意が必要である.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top