日本透析医学会雑誌
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症例報告
透析患者の急性心不全クリニカルシナリオ1に対し血管拡張薬により酸素化が改善した4例
島田 典明西川 真那川北 智英子井出 陽子澤田 真理子大森 一慶木野村 賢山本 浩之門田 一繁福島 正樹浅野 健一郎
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2014 年 47 巻 12 号 p. 761-767

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抄録
急性心不全クリニカルシナリオ (CS) 1の透析患者において血管拡張薬で酸素化が改善した4例を報告する. 症例は62~81歳, 透析歴は2~12年. 週初めの透析前夜に急に呼吸苦をきたし搬送される. 肺水腫像を呈し, 血圧200-254/93-122mmHgで体重増加はドライウエイトの3.8~9.2%であった. 全例ニトログリセリン, ニカルジピンを使用し, 2例は非侵襲的陽圧換気を行った. 血圧上昇は改善し, 透析までに投与酸素は減量できた. 2例で緊急透析を行ったが, 除水は体重増加に0.5~0.8kgを加えた量を行い, 速やかに酸素化は改善した. CS1は急な血圧上昇により, 血液が末梢から心肺に急激にシフトする病態が考えられている. 硝酸薬など血管拡張薬を用いて, 体液を末梢へ再分布させることは有効である. 心不全では酸素化の迅速な改善が重要であり, 透析患者でもCS1では血管拡張薬で初期対応を行うべきと考える.
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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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