日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
透析技術
ポリスルホン膜から溶出するポリビニルピロリドンの紫外光による迅速測定の試み
島本 佳昌宮田 賢宏松下 誠吾粕本 博臣山本 貴敏鎌田 亜紀海本 浩一
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 47 巻 6 号 p. 375-379

詳細
抄録

 ポリスルホン (PS) 膜ダイアライザから親水化剤ポリビニルピロリドン (PVP) が溶出することは, 透析療法における問題の一つである. 透析治療を施行するうえでは膜溶出PVPの迅速測定が望ましい. 本研究では, PVPの紫外線スペクトルを用いた簡易的かつ迅速測定法 (UV-s法) を確立すべく, 従来のヨウ素呈色法であるMüller法 (M法) と比較検討した. その結果, PVP溶解液に対して, PVP濃度10mg/L以下ではM法とUV-s法はr=0.970と有意な相関関係があり (p<0.001), 10~100mg/LのPVP濃度でもr=0.993と有意な相関が認められた (p<0.001). また, PS膜ダイアライザPS-1.6UW (n=5) を用いて, 生理食塩液1.0Lによる洗浄開始0.5Lおよび1.0L時点におけるPVP溶出量の比較では, 0.5L洗浄時はM法 : 2.8±2.9mg/L, UV-s法 : 3.6±2.1mg/L, 1.0L洗浄時はM法 : 2.0±2.1mg/L, UV-s法 : 3.1±0.9mg/Lと両測定法の間に差を認めず, UV-s法を用いたPVP測定は可能であった. 以上より, PS膜から溶出するPVPをUV-s法を用いることでM法よりも迅速的に測定できることが示唆された.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top