日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
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fMRIを利用した脳機能解析による按摩手技の検討
―異なる母指揉捏法による比較検討―
矢野 忠村瀬 智一梅田 雅宏
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キーワード: :按摩, fMRI, 手技, 脳機能画像
ジャーナル オープンアクセス

2015 年 40 巻 2 号 p. 109-115

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抄録
【目的】母指揉捏法の揉み方の違いが、脳機能画像で検出できるか否かを明らかにすることを目的とした。
【方法】(1)対象:健常成人10名(男性5名、女性5名、23歳~33歳)とした。(2)装置:3.0TMRI(シーメンス社)を使用し、コイルは32ch head coil を用いた。(3)刺激と部位:第1実験は母指揉捏とし、手首を返し上肢で揉むA法と母指だけで揉むB法の2種類とした。第2実験はスポンジ擦過刺激とした。刺激部位は右下腿前外側部に行った。(4)方法:第1実験では、A法とB法をランダムに行い、脳機能画像を作成した。手技は1回20秒、安静時間は10~60秒の範囲で設定した。fMRIの測定条件は1run 5分20秒の測定を5run繰り返した。測定終了後、刺激感覚の違いや種類等について記述してもらった。第2実験のfMRIの測定条件は1run5分20秒の測定とし、擦過刺激は8回/1runとし、刺激時間は1回20秒、安静時間は20秒で固定した。第1実験と第2実験の間隔は少なくとも1週間以上空けた。
【結果】(1)グループ解析では、B 法のみで上前頭回と下側頭部で有意な賦活が観察された。(2)A法とB法および擦過刺激のすべてで一次感覚野の脳賦活は3例で観察され、全員女性であった。(3)脳賦活画像を差分処理したところ1例で補足運動と感覚連合野に脳賦活の残存が認められた。
【考察】一次体性感覚野の脳賦活が10例中3例で認められたことから、一定強度の体性感覚刺激として知覚された被験者において脳賦活が起こったと考えられた。下腿前外側部の一次体性感覚野は狭く、この領域が賦活されるには、ある程度の刺激強度、刺激量を必要とすることが示唆された。また脳賦活図の差分で認められた脳賦活部位は心地よさに関連することから、母指揉捏による心地よさが示された可能性が考えられたが、さらなる検討が必要である。なおグループ解析ではB法のみで脳賦活(上前頭回と下側頭部)が認められたことから刺激感覚を分類する過程に痛み感覚が強く影響を与えた可能性が考えられた。
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© 2015 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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