2014 年 47 巻 7 号 p. 441-445
症例は47歳女性. 2005年に慢性腎不全に対して血液透析を導入, 同年母親をドナーとした血液型適合生体腎移植を施行した. その後, 移植腎機能廃絶により2012年1月に血液透析再導入となった. 同年9月より38度台の発熱, 夜間咳嗽, 嘔吐を認めた. 血液検査, CT検査より移植腎に対する腎盂腎炎が考えられた. 抗生剤投与により一時的に改善したが, 再燃したため当院に紹介入院となった. 入院後, 抗生剤の変更によって一時的に軽快するも, 再び感染が再燃したため, 第11病日に移植腎摘除術を施行した. 摘出腎の病理結果より慢性拒絶反応および膿腎症と診断された. 移植腎機能廃絶後に血液透析を再導入した患者に発熱を認めた場合, 診断に苦慮する場合がある. 今回発熱の原因は感染症であったが, 保存的治療では改善せず移植腎摘除術を施行した. 腎移植後血液透析再導入の患者に対する移植腎摘除術の適応, 時期については, 個々の症例に応じて判断する必要がある.