日本透析医学会雑誌
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原著
ニプロ社製個人用RO装置NCR×eco Aoと個人用透析装置NCV-10を用いた全自動熱水消毒型個人用透析システムの構築および水質評価
長嶺 博文深澤 瑞也藤岡 未宇降旗 敏輝望月 仁深澤 加奈子山岸 敬二階堂 拓鴨下 洋一中村 将太
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2014 年 47 巻 9 号 p. 547-552

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抄録

2012年度の診療報酬改訂で, 慢性維持透析濾過 (複雑なもの) (以下 : オンラインhemodiafiltration : HDF) が算定できるようになり, 透析用監視装置 (多用途透析装置) ではすでに各社オンラインHDF対応装置が製造承認されている. 一方, 緊急血液透析や在宅血液透析 (home hemodialysis以下HHD) では, 個人用逆浸透法精製水製造装置 (以下 : 個人用RO装置) で透析用水を製造し, 個人用透析装置で透析液を作製し血液透析を行っている. このようなシングルユースを目的とした個人用透析システム (以下IDDS) は現在本邦において標準的に使用されている. しかし, 多人数透析システム (以下CDDS) とは違い, 自動消毒や洗浄が行えず従来は標準透析液作製を目的とした透析システムであった. またオンラインHDF治療の普及とともに, 今まで生理食塩液で行っていたプライミング/返血を清浄化された透析液で行うことのできる自動化透析装置が開発された. 施設血液透析のように清浄化された逆浸透法精製水 (以下RO水) ラインに接続して使用する場合には問題は生じないが, IDDSを単体として使用する場合においては, オンラインHDF治療や, 透析液でのプライミング/返血を安全に行うには, 前述の理由から今までの個人用型透析システムでは対応できないと考えた. そこで今回, 新しいコンセプトのシステム開発をニプロ株式会社と共同で行い, 新規に開発された個人用RO装置NCR×eco Aoと個人用透析装置NCV-10を用いた全自動消毒を取り入れたIDDSを構築し水質を評価検討した. この結果, JSDTガイドライン「透析用水」の基準ならびに日本臨床工学技士会編集の透析液清浄化ガイドラインVer2.00管理基準もクリアすることができ, 今後個人用RO装置, 個人機での水質維持に有用であると考えた.

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© 2014 一般社団法人 日本透析医学会
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