抄録
【背景】透析患者における血管造影検査後の血液透析のタイミングや, 透析に関連した合併症に関する報告は極めて少ない. 【対象と方法】血管造影検査を施行された全入院維持血液透析患者323例を対象に血管造影検査後, 初回血液透析に関連した合併症とその危険因子を後ろ向きコホート研究で検証した. 【結果】造影検査後初回血液透析中の合併症は79/323例 (24.4%) で認め, 症候性血圧低下が最も多かった. 造影検査後の血液透析のタイミングでは, 造影検査同日透析は翌日透析と比べて透析中の合併症が有意に多かった (オッズ比3.24, 95%信頼区間 : 1.11-9.42, p=0.02). 多変量解析でその危険因子は造影検査同日透析, 造影剤使用量が多いことであった. 【結語】造影検査後の血液透析は翌日のほうが安全に施行できる可能性がある.