抄録
透析患者の手根管症候群に対し1986年から鏡視下手根管開放術を行っているが, 手術後の維持透析でアミロイドが継続して沈着し, 手根管の相対的狭小化をきたし再発するため術後長期の管理が必要である. 初回手術後10年以上経過した264手の術前後臨床症状, 再発時2回目以降の手術の有無を調査した. 初回手術時平均年齢52歳, 手術時平均透析期間17年, 術前しびれ, 痛覚・触覚障害, 短母指外転筋筋力の徒手筋力テスト [0~3], 知覚・運動神経遠位潜時異常は, 順に97 ; 74 ; 78 ; 41 ; 77 ; 91%で認め, 術後それぞれ96 ; 97 ; 94 ; 87 ; 80 ; 83%で正常に改善した. 97手が再発し鏡視下神経剝離術または浅指屈筋腱切除術を初回手術後平均12年で行った. さらに3手で再再手術を初回手術後平均13年で行った. 生存期間の延長により生涯に複数回の手術を必要とする可能性があるため, 手根管掌側組織の健常組織損傷は可能な限り避け, 各手術は低侵襲で施行すべきである.