日本透析医学会雑誌
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症例報告
カルシウム非含有吸着ポリマーが惹起したと思われる血液透析患者の夜盲症2例
島尻 艶子宮城 綾乃小田口 尚幸下地 陽子下地 貴子兼城 達也與那覇 俊美仲里 聰
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2015 年 48 巻 5 号 p. 309-314

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抄録
透析患者でまれな夜盲症を2例経験した. 2例は非糖尿病性腎症で10年以上の長期透析患者であり, リン (P) コントロールのためカルシウム (Ca) 非含有ポリマーが処方され, LDL-コレステロール (LDL-Cho) は低値であった. 眼底検査や頭部MRI検査は異常なく, 網膜電位図検査 (electroretinogram : ERG) と, 血清ビタミンA (Vit. A) 低値によりVit. A欠乏性夜盲症と診断した. パルミチン酸レチノール配合薬2gを補充したところ, 一両日中に夜盲症状は改善した. 2例ともBMI, 血清Alb, KT/V, malnutrition-inflammation score (MIS), そして食事内容調査から栄養状態の悪化はないと考えたが, しかし, 発症時期に標準化蛋白異化率 (nPCR) が連続して2か月以上, 1.0g/kg/日以下であり, Vit. A以外の, 栄養学的な複合要因がある可能性があった.
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© 2015 一般社団法人 日本透析医学会
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