日本透析医学会雑誌
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総説
慢性腎臓病の予後を規定する因子とreverse epidemiology
花房 規男新田 孝作土谷 健
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2016 年 49 巻 10 号 p. 649-654

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抄録

一般的な心血管リスクファクターは, 慢性腎臓病 (CKD) 患者の死亡率増加に関連することが明らかになっている. しかし, 透析患者では, 肥満, 高血圧, および高コレステロール血症が, 生命予後改善と関連する保護作用をもたらすと考えられている. 以前の研究において, 透析患者において心血管リスクファクターの 「reverse epidemiology (逆説的疫学)」 が認められることが示されている. 透析患者においてリスクファクターと臨床転帰の間に逆相関が認められる原因は, 完全には理解されていない. これまでに, protein-energy wastingなど, 考えられるメカニズムがいくつか報告されている. 透析患者を含めたCKD患者における臨床研究によって, この現象の理解が深まるものと期待される. 本稿では, 透析前のCKD患者および透析患者におけるreverse epidemiologyに関して概説した.

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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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