日本透析医学会雑誌
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症例報告
マトリックス結石により上部尿路腫瘍が疑われた維持血液透析患者の1例
福井 真二中井 靖井上 剛志豊島 優多影林 頼明三馬 省二
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2016 年 49 巻 2 号 p. 191-194

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抄録
【緒言】尿路のマトリックス結石はまれな疾患で画像検査のみでの診断は困難である. 今回, マトリックス結石により上部尿路腫瘍が疑われた維持血液透析患者の1例を経験したので報告する. 【症例】63歳, 男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全のため維持血液透析が導入された. 2年10か月後に肉眼的血尿が認められた. CTで右尿管腫瘍が疑われたため, 当科を紹介された. 膀胱鏡では膀胱内に腫瘍はなく, 尿細胞診も陰性であった. MRIで右腎盂腫瘍および右尿管腫瘍と診断し, 後腹膜アプローチによる腹腔鏡下右腎尿管全摘術を施行した. 病理組織診断は炎症性病変のみで悪性所見はなかった. 腫瘍が疑われた部位に黒色の結石様物質が認められた. 腫瘤の成分分析結果はマトリックス結石 (蛋白>95%) であった. 【結語】尿路腫瘍を疑わせる画像所見を示す維持血液透析患者では, マトリックス結石の可能性も考慮する必要がある.
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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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