日本透析医学会雑誌
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症例報告
血液透析患者の大腸癌肝転移にmFOLFOX6+Bevacizumab療法が奏効した1例
宮崎 三枝子永渕 一光小坂 一英井下 俊一櫻井 俊弘田村 雅仁
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2016 年 49 巻 6 号 p. 431-437

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抄録

症例は73歳男性 (CKD stage G5A3). 直腸癌とS状結腸癌に対し腹腔鏡下高位前方切除術およびD2リンパ節郭清術を施行した. 術後5か月に維持透析が導入された. 術後7か月後にCEA値再上昇と, S3とS5領域にそれぞれ32mmと10mmの肝転移を認めたため, mFOLFOX6+Bevacizumab (BV) 療法 (BV 3.5mg/kg, Oxaliplatin 65mg/m2) を開始した. 3クール目からgrade 2の嘔吐が出現したがBV関連有害事象や好中球数減少など重篤な副作用の出現はなく4クール終了時の肝腫瘤は縮小を認めた. 5クール目にはgrade 3の嘔吐とgrade 3の高血圧が出現したため, 本人の治療拒否もありUFT経口投与 (100mg/透析日) へ変更した. 化学療法開始6か月後, 12か月後の造影CTでは肝腫瘤はほとんど確認できなかった. 維持透析患者に対する標準化学療法は確立されておらずBV併用症例の報告も少ないが, 本症例では重篤な副作用もなく十分な抗腫瘍効果が得られたと考えられた.

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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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