日本透析医学会雑誌
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49 巻 , 6 号
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原著
  • 林田 征俊, 白井 美千代, 丸山 祐子, 江藤 りか, 佐々木 修, 一ノ瀬 浩, 橋口 純一郎, 澤瀬 健次, 舩越 哲, 原田 孝司
    2016 年 49 巻 6 号 p. 393-399
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    本邦社会の高齢化とともに, 透析医療に携わるスタッフの負担は増加する傾向にある. また赤血球造血刺激因子製剤 (ESA) が透析技術料に包括化された現在, ESA節減も重要な課題となっている. 今回, われわれは透析患者26名においてDAから, より廉価であるEPOκへの切り替えを行い, 投与頻度の増加 (月2回から最大週3回) によるストレスの変化や事故件数, 経済効果, さらにDAとEPOκ使用時のHbおよび鉄代謝の差異を調査した. 切り替え前後で「職業性ストレス簡易調査票」を用いて評価したところ, 仕事の量と仕事の質などにおいてスタッフのストレスは増しておらず, 一方月額のESA費は46.3%と大幅に削減可能であった. Hbおよび鉄代謝は縦断研究において同等であった. しかし, 長時間作用型ESAと短時間作用型ESAの生命予後についてのエビデンスは現在のところ存在せず, 今後のESAの選択は非常に慎重を要すると思われた.
  • 井口 昭, 山﨑 美穂子, 田崎 和之, 鈴木 靖
    2016 年 49 巻 6 号 p. 401-405
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    クエン酸第二鉄水和物 (ferric citrate hydrate : FCH) の副作用として, 鉄吸収による過剰造血がある. FCH内服透析患者を後方視的に観察し, 過剰造血 (Hb overshoot) を予見しうる因子を検討した. OvershootはHb≧14.0g/dL, または開始前から3.0g/dL以上の上昇と定義した. 対象は20例. Overshoot群は11例, 非overshoot群は9例. FCH開始前の2群間の比較では有意差は認めなかった. Overshoot群ではHbは開始2, 3か月後で有意に上昇し, RDW-CVは1か月後 (p=0.0240), 2か月後 (p=0.0190), MCVも1か月後 (p=0.0411), 2か月後 (p=0.0411) に有意に上昇した. ESA減量速度に差はなかった. RDW-CV, MCV上昇はHb上昇より早期に認められるため, その後の過剰造血を予見しうる因子となりうる.
症例報告
  • 長谷川 頌, 吉田 悠, 勝木 俊, 多田 真奈美, 田嶋 強, 日ノ下 文彦
    2016 年 49 巻 6 号 p. 407-412
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    経皮的椎体形成術 (PVP) は有痛性未治癒胸腰椎圧迫骨折における短期的な除痛効果が報告されているが, 維持血液透析患者での報告は少ない. 今回, 維持透析患者の圧迫骨折に対してPVPを施行した4症例の患者背景・除痛効果・合併症について検討した. いずれの症例もPVPに直接関連した大きな合併症はなく, 施行後に著明な疼痛改善を認め, 離床時期も早かった. 1症例ではPVP施行後に2回の圧迫骨折再発を呈し, 計3回のPVPを施行したが, いずれも除痛効果は高く, 結果としてADL低下を防ぐことができた. PVPは維持透析患者に対しても安全で有効な治療手段と考えられるが, 圧迫骨折を繰り返す症例も多いことが示唆され, どの症例にPVPを行うべきかについては今後さらに症例を積み重ねて検討していく必要がある.
  • 安藤 誠, 福島 正樹, 森 拓人, 島田 典明, 浅野 健一郎
    2016 年 49 巻 6 号 p. 413-418
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は52歳の男性血液透析 (HD) 患者. Dry weight評価の目的でCRIT-LINE®による循環血液量変化率 (%BV) を測定していた. 術前にナファモスタットメシル酸塩 (NM) を用いてHDを行ったところ, 開始5分後にシャント肢の熱感, 全身の痒みと発赤, 結膜の充血を認めた. %BVは15分で−16.8%まで急激に低下したが, ショック症状はきたさなかった. 生理食塩水を100mL注入してHDを一時中断した後, ヘパリンでHDを再開することで症状は改善した. 除水再開1.5時間で%BVはHD開始時の値に回復し, 2時間後に+20%の急峻な上昇を認めた. NM特異的IgE抗体が陽性であり, NMによるアナフィラキシーと考えられた. 体液量過剰であった本症例はショック症状をきたさず, アナフィラキシーに伴う循環血液量の急激な低下とその後の急速な回復を認め, HD患者特有の体液量の状態と分布の変動の関与が示唆された.
  • 若林 奈津子, 武田 真一, 菅生 太朗, 清水 俊洋, 黒澤 明, 小森 さと子, 伊澤 佐世子, 木村 貴明, 秋元 哲, 齋藤 修, ...
    2016 年 49 巻 6 号 p. 419-423
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    血液透析のための動静脈シャントは非生理的な血行動態であり, ときに諸臓器への悪影響を生じる. 症例は70歳女性. 糖尿病性腎不全のため20XX年3月に自己血管内シャントを造設, 5月より血液透析が開始されたが, 脱血不良のため8月に人工血管を挿入した. ところが, 透析中に全身の間欠的な痙攣が出現するようになり, 種々画像検査では両側内頸動脈閉塞および左椎骨動脈解離を認めた. 内シャント後に潜在的な盗血を生じ, 血液透析により脳血流障害が助長されたと考え, 直ちに人工血管を閉鎖した. 以降は中心静脈カテーテルを用いて血液透析を行ったところ, 痙攣発作は認めなくなり, シンチグラフィでも脳血流の著明な改善が示された. 内シャントに関連した中枢神経症状の報告は散見されるが, 既報例と異なり, 本症例では過剰血流は認めなかった. 動静脈シャント造設に際しては, 吻合血管のみならず, 全身性の血管病変にも注意を向ける必要性が考えられた.
  • 寺脇 博之, 福島 直太郎, 青栁 佳子, 渡邉 公雄, 中島 彩, 田中 健一, 林 義満, 旭 浩一, 中山 昌明
    2016 年 49 巻 6 号 p. 425-429
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は85歳女性. 6年前に経腹直筋アプローチで挿入された腹膜透析カテーテルを抜去した3時間後, 抜去創の直下に直径10cmを超える巨大皮下腫瘤が出現した. 手術室で創部の再解放が行われ, 下腹膜動脈断端からの出血が確認されたため, 結紮止血および血腫吸引が行われた. その後の経過は順調であった. 経腹直筋アプローチで挿入された腹膜透析カテーテルを抜去する際には, 下腹壁動脈損傷の可能性を念頭に置く必要がある.
  • 宮崎 三枝子, 永渕 一光, 小坂 一英, 井下 俊一, 櫻井 俊弘, 田村 雅仁
    2016 年 49 巻 6 号 p. 431-437
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/28
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性 (CKD stage G5A3). 直腸癌とS状結腸癌に対し腹腔鏡下高位前方切除術およびD2リンパ節郭清術を施行した. 術後5か月に維持透析が導入された. 術後7か月後にCEA値再上昇と, S3とS5領域にそれぞれ32mmと10mmの肝転移を認めたため, mFOLFOX6+Bevacizumab (BV) 療法 (BV 3.5mg/kg, Oxaliplatin 65mg/m2) を開始した. 3クール目からgrade 2の嘔吐が出現したがBV関連有害事象や好中球数減少など重篤な副作用の出現はなく4クール終了時の肝腫瘤は縮小を認めた. 5クール目にはgrade 3の嘔吐とgrade 3の高血圧が出現したため, 本人の治療拒否もありUFT経口投与 (100mg/透析日) へ変更した. 化学療法開始6か月後, 12か月後の造影CTでは肝腫瘤はほとんど確認できなかった. 維持透析患者に対する標準化学療法は確立されておらずBV併用症例の報告も少ないが, 本症例では重篤な副作用もなく十分な抗腫瘍効果が得られたと考えられた.
平成27年度コメディカル研究助成報告
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