2016 年 49 巻 7 号 p. 453-462
日本透析医学会はこれまでに14の診療ガイドライン (clinical practice guideline : CPG) とその改訂版を単独であるいは他団体との協力で作成し, その多くを英文化して国際的に発信してきた. これらは, ユーザーフレンドリーな教科書的な体裁をとり, 多くの透析医療者にとって役立つ内容であった. しかし近年CPGの定義や作成プロセスが厳格化し, 従来の作成方法や体裁ではその流れに沿わなくなってきた. 一般社団法人日本透析医学会は, ガイドライン手順書作成ワーキンググループ (旧ガイドライン小委員会) を中心に2012年からガイドラインの作成方法を検討し, 今後どのような方法でガイドラインを作成していくのかをまとめた. 学会内で審議を繰り返した結果, 国内のみならず国外への情報発信の信頼性を高めるために, GRADEワーキンググループによる方法論に準拠してCPGを作成することに決定した. 新しいCPG策定のために, システマティック・レビューによるエビデンス評価技術の習得, それにもとづく推奨度の決定システムの構築, COIの取り扱いなどを整備していく必要がある.