2016 年 49 巻 7 号 p. 463-467
腎性副甲状腺機能亢進症の治療において, 内科的治療抵抗性の場合, 副甲状腺摘出術 (parathyroidectomy : PTx) などが考慮される. PTx件数はシナカルセト承認後に減少しているが, 未だにPTxが必要な症例が存在している. また, 予後に対する影響, 費用対効果, 手術成績などの要因もあり, ガイドラインどおり一元的にPTxが行われているわけではないのが現状である. 今回, シナカルセト内服症例において, PTx施行に至った症例と保存的治療継続中の症例を比較検討することで, PTxに至る手術予測因子を模索した. PTx施行群において, シナカルセト内服1年目の血清iPTH 308.05pg/mLがカットオフ値の候補としてあがった. 今回算出された値が, PTx施行時期を考慮するうえで参考になる可能性があると考えられた.