日本透析医学会雑誌
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原著
常染色体優性多発性囊胞腎に合併する腎囊胞感染症の治療抵抗性に及ぼす腎機能障害と腎容積の影響
小川 みゆき内田 満美子坂本 尚登
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2016 年 49 巻 7 号 p. 469-474

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抄録

【目的】常染色体優性多発性囊胞腎 (ADPKD) に合併する腎囊胞感染の治療抵抗性に及ぼす腎機能障害と腎容積の影響を比較検討した. 【方法】2006年から5年間に入院加療したADPKD 44症例から腎囊胞感染の合併例を抽出した. 腎機能をCKD分類で層別化して同レベルの腎障害例において画像所見をもとに算出した腎容積に治療抵抗性の有無により差を生じるか検討した. 【結果】腎囊胞感染を合併したADPKDは14例, 延べ入院回数は24回であった. CKD stage 3および4では全症例に抗菌薬治療が奏効したが, CKD stage 5および5Dの12症例中7例に治療抵抗性を認めた. この12例の腎容積は, 治療が奏効した5例の平均値が1,985cm3に対して治療に抵抗した7例では3,550cm3と有意に高値であった. 【結論】ADPKDに合併する腎囊胞感染症の治療抵抗性に腎機能障害の程度に加えて腎容積増大が相加的に関与すると考えられる.

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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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