日本透析医学会雑誌
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原著
リン吸着薬処方錠数の増加は服薬アドヒアランス低下およびリン管理不良と関連する
伊藤 恭子永野 伸郎高橋 伴彰石田 秀岐田ヶ原 綾香塚田 美保野原 ともい岡島 真理野原 惇星 綾子溜井 紀子安藤 哲郎筒井 貴朗新田 孝作佐倉 宏小川 哲也
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2016 年 49 巻 7 号 p. 475-482

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抄録

【目的】リン吸着薬の処方錠数が, 服薬アドヒアランスおよび血清リンに対する影響を検討する. 【方法】リン吸着薬処方中の外来維持血液透析患者229名にアンケート調査を実施し, 処方錠数および患者背景との関係を解析した. 【結果】リン吸着薬の月間処方錠数の中央値は210錠/月であり, 単剤処方者は50%であった. 処方錠数が多い群は, 年齢が若く, 透析歴が長く, 血清リンが高値であり, 処方錠数は血清リンと正相関した. アドヒアランス不良者は30~40%であり, 「飲み忘れる」患者, 「残薬がある」患者, 「飲む量を減らしたい」患者は, 処方錠数が多く, 血清リンが高値であった. 処方錠数増加により, 「残薬がある」, 「量が多い・とても多い」と回答した患者が増加し, アドヒアランス不良者は, 「量が多い・とても多い」と感じる割合が多かった. 【結語】リン吸着薬処方錠数の増加にともない服薬アドヒアランスが低下し, 血清リン高値と関連する.

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© 2016 一般社団法人 日本透析医学会
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