2016 年 49 巻 8 号 p. 539-546
Clostridium difficile感染症 (CDI) は一般に, 入院患者が抗菌薬使用に関連して発症する下痢症・腸炎として知られているが, 近年, 抗菌薬投与歴のないCDI市中感染も増加傾向である. 今回われわれは末期腎不全患者が全身倦怠感・腹痛を主訴に来院し, ショック・下血を伴い市中獲得が疑われた劇症型CDIにより予後不良な経過をたどった症例を経験した. 本症例は入院翌日に提出した便検体においては食中毒を中心とした検査が行われ, CDI診断を目的とする細菌学的検査が施行されず, 診断が遅れた. 慢性腎不全という免疫能低下状態はCDIのリスクと考えられ, 市中感染腸管感染症としてCDIも鑑別する必要がある.