日本透析医学会雑誌
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症例報告
血液透析患者に発症したレジオネラ肺炎の診断に, 血清を代用した尿中抗原検出試薬による検査が有用であった1例
木村 真依子川口 武彦首村 守俊熊倉 慧岡田 絵里上原 正樹岡島 真理山川 貴史西村 元伸石川 哲今澤 俊之
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2017 年 50 巻 10 号 p. 641-646

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抄録

71歳男性. 透析歴2年. 発熱, 前胸部痛を主訴とし, 酸素化低下と胸部単純X線で左肺野の浸潤影を認め, 肺炎の診断で緊急入院となった. 細菌性肺炎を疑い, セフトリアキソンの投与を開始したが, 第4病日, 炎症反応の上昇, 浸潤影の拡大を認めた. 非定型肺炎の合併を疑い, シプロフロキサシン (CPFX) を追加した. 第5病日, 無尿のため血清を代用した尿中レジオネラ抗原検出試薬による検査 (抗原検査) を行ったところ, 陽性であった. 導尿にて少量の尿が採取され, 尿中抗原陽性も確認した. レジオネラ肺炎と診断し, CPFXからレボフロキサシンへの変更にて軽快, 治癒し, 血清の抗原検査で陰性化を認めた. 透析患者は, レジオネラ肺炎の診断に用いられる尿の採取が困難であることが多い. 無尿の透析患者においては, レジオネラ肺炎の診断に, 血清を代用した抗原検査が有用である可能性が示された.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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